BANANA FISH

BANANA FISH


先日、育児4コマでも登場した「BANANA FISH」の復刻版イラスト集が届きました。この連休、一歩も外に出ていない(平日もほぼ外に出ないで仕事してますが)私の唯一の収穫~~~!ということで、ただただ感想を語らせてください。

目にしたのは25年くらい昔だった

BANANA FISHの単行本を読んだのは中学~高校だった。わたしにあれこれマンガ本を貸してくれるクラスメイトがいて、ありがたいことに貸してもらって読んだもの。少女漫画をメインに読んでいたこともありまして、男性的な絵柄に最初は戸惑い、好きになれるものかと思っていたのだけれど、巻をすすめるごとにハマっていったことを思い出します。

中でも、アッシュの存在は特殊でした。少女漫画のヒロインがときめく王子様のような美しい容姿。当時、「クールビューティー」という言葉をはじめて知りました。なるほど、彼にふさわしい表現。登場人物ひとりひとりに魅力があって、今思うとゴルツィネでさえも、情が入る。アッシュに魅入られ執着するという気持ちがわかるからね。

単行本最終回まで読み終えたあとの何とも言えない気持ち。
泣けるし、切ないし、悔しいけど必然のストーリーだと思うから納得がいく。(ネタバレなのでこれ以上語りませんが)そう、あの時のその「何とも言えない気持ち」を蘇らせてくれるのが、この復刻版イラスト集でした。

彼らの生きた時代が確かにあった

こちらのイラスト集は、すべてが線画、モノクロのイラストのみが掲載されています。だからなおさらに、吉田秋生先生の細く緻密な線画の美しさが堪能できます。特筆すべきは、時代を反映したファッション。全体的にだぼっとした重いスタイリングが昭和っぽくて可愛い。こんなかんじの流行してたな~とか、そういう視点でも楽しめました。それを着こなす彼らは、でも古い感じがまったくしなくて、スタイリッシュ。

それから、アニメ用にデザイン調整された英二は可愛いタイプの男子だけれど、原作はもうちょっとこう、武骨でやぼったい大学生男子って印象。アニメのキャラデザよりだいぶ雄みが強い。イラスト集を見てそれを思い出しました。どっちのタイプの英二もすき。芯にあるものの強さと純粋さが英二の魅力かな~!イラストの、アッシュと英二の距離感がすごく近くてそれがとてもよかった。彼らは生まれ育った環境があまりにも違うからこそ出会えてよかった関係。

サブキャラで気に入っているブランカとアッシュが絡むイラストも一部あって、それがアダルトな印象でドキドキしました。アニメではどこまでやるんだろう?

巻末には、数ページだけの漫画が収録されている。まだ「少年」である彼らの何気ない夏が描かれていて、それがもう本当に素晴らしかった。

吉田先生の描く空気感が好き。なんでしょうね、静かな音のないシーンでも、生命の息吹というか。音のない喧噪というか。生きている世界が伝わってきます。アニメを視聴して好きになったという若い世代にも、また当時私と同じ気持ちで物語を読みふけったみなさんにも、ぜひイラスト集を見ていただきたいな~と思いました。ぜひぜひ。

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漫画という文化が見せるもの

ところで、今日、ツイッターではるかぜちゃんがつぶやいていたこと。

私ははるかぜちゃんの親御さん、すばらしい~!と思いました。というのも、ひとつの思想に偏らせることがとても危険だと思うからです。

ジャンルの話になるのでまた違うかもしれませんが、極端に言えば「漫画なんか読んでないで純文学を」みたいな親の価値観があったとします。よしあしをきめるのが親だったら、その子はやっぱり「漫画は読んだらだめなんだ」と思うだろうな。でもそれって押し付けでしかない。

漫画でも小説でもなんでも、世の中には本当に人の心を動かす価値のあるものが存在する。親の価値観だけで選択肢を狭めて=子の世界を狭めていくのはつまらないことだなと思います。善悪を教える(この場合、例えば受験の役立つ立たないとかではなく、ひとをころすのはいけない、というレベルの善悪)ことが親の役割であることにはかわりないのだけど、その子にとって価値があるかどうかを決めるのはその子本人だから、押し付けてはいけないな~と思いました。

最近、児童書の話とかしてますが、絵本なんかはもちろんこちらがセレクトして与えたとはいえ、これからは娘が興味を示したものを私も理解しながら判断していく必要があるなぁ。この話はまた改めて考えていきたいと思います。